ツートーン、スリートーンの加飾品では再現できなかった陰影感ある細かい石積柄を、フルカラーインクジェットの採用により実現。
競合他社を超える意匠性と機能を備えた金属サイディングを市場へ届けるという信念のもと開発をスタートさせた製品です。
かつて北海道などの豪雪地帯での外壁材選びは、凍害に強い金属サイディングが第一候補になるのが通例でした。
しかし、デザインバリエーションの点では、金属サイディングは窯業系サイディングに一歩劣っていたのも事実。ニチハでは窯業系サイディングにおいて次世代インクジェット商品を発売しており、意匠性の高いデザインを多数取りそろえていた一方、金属サイディングは機能面重視で選択肢が限られてしまっていたのです。
「どの地域に住むユーザーにも、デザインで外壁を選んでもらいたい」そんな想いから開発はスタートしました。
住宅および建材に求められる性能は年々向上しており、外壁材も例外ではありませんでした。すでに競合他社がフルカラーインクジェットを採用した金属サイディング商品を発売しており、塗膜変退色10年保証を携えていたのです。後発であるなら、さらに優れた製品をリリースしなくてはなりません。そこで、当社はさらにニチハの超親水防汚コーティングも施すことにしました。これは、外壁に付着した汚れを雨水で繰り返し落とせるセルフクリーニング機能であり、窯業系サイディングでは好評いただいていた機能です。
窯業系サイディングでは実績がありましたが、金属サイディングでは初の試みでした。
環境に配慮し水性インクを採用することにしましたが、金属対応の水性インクを持つメーカーは当時ほとんどありませんでした。専用のインクを一から開発することは、短い開発期間では現実的ではないため、限られた水性インクの中で金属材料との相性を検証していくことになりました。フルカラーインクジェット印刷は、すでに窯業系サイディングで確立された技術でしたが、材料が変わればまるで勝手が異なります。カラー鋼板表面とインクとの相性が悪く、印刷後にインクの凝集が発生するほか、インクのにじみで美しい発色が得られないなど問題は山積しました。
開発チームは鋼板メーカーからサンプルを取り寄せ、インクとの相性を一つひとつ確認し、適正な表面塗装を粘り強く追求していきました。
金属サイディングへのインクジェット塗装は初めてであるため、生産設備に関してもテスト機を導入し、基礎から研究を進めていきました。印刷してから乾燥までに時間がかかると鮮明な画像が得られなかったり、現有設備ではインク塗装の乾燥後にクリア塗装をかけるとにじみが発生したりするなど乾燥工程でのトラブルが発生したため、急きょ乾燥設備の増強を図るなどの対策も行いました。
そして、満を持して発売されたiシリーズは好評を博し、金属サイディングの看板商品となりました。iシリーズは現在も進化を続けており、寒冷地のみならず、全国各地の住宅の外観を彩っています。